皆さん、こんにちは。#僕たちの財布 プロジェクトのレポート第3弾です!
前回は、試行錯誤の末に私たちが作る財布の「コンセプト」がついに完成。「圧倒的にコンパクト。それでいて、革の経年変化を楽しめる財布」を目指し、いよいよプロダクト制作が本格的に始まります。
今回は、実際に革小物を作られている職人さんのもとを訪れ、ついにファーストサンプルが完成するところまでをお届けさせていただきます!また記事の末尾には重大発表も…?ぜひ最後までご覧ください。
限界まで薄く小さく、その中で見えた課題
前回までの話を踏まえつつ、私たちが作りたい財布の理想像を改めて整理。
既存の財布にある、カード、小銭、お札入れといった機能はどれも削ることなく残しつつも、極限まで薄く、軽い財布を作りたいというアイデアが固まってきました。
このアイデア実現の為には、それぞれの機能を最低限・最小限にコンパクト化する必要があります。まず、お札は三つ折りにして革の抑えに収納。次にカード類は厳選した最大6枚のみを計3つの横向きポケットに。そして、小銭入れはあくまで”受け取って持ち帰る用”としてマチのない薄さに。最後に、革を限界まで薄く漉(す)く。
上の画像が初期段階で考えたラフのイメージ図。カード決済を前提とし片手でカードを取り出せる使いやすさ、どうしても現金を使わなくては行けない時に対応できるような機能。
まだまだ荒い構想ですがこの大枠のアイデアを元にアドバイスをもらうため、制作をご協力いただくPRAIRIEさんにお伺いしました。
私たちのわがままな要望をプレリーさんに相談してみると「アイデアはとても良いね。今のニーズを反映していて面白い」と好評価。
一方で「これだと革を薄くする分、耐久性の確保が難しい…」との反応も。
機能(仕組み)の面に関しては問題ないものの、薄さの追求は本来「熟成レザー」の性質と相反するもの。油分を多く含んだ熟成レザーは美しいエイジングを実現する一方、他の革に比べ柔らかいため、薄さを追求すると、耐久性という面に少し不安が残ります。
そこで、PRAIRIEさんが提案してくれたのは革の裏面に極薄の補強を入れる方法。全体的には薄さを保ちつつも、一部負荷がかかりやすい部分にのみ補強を施すことで、限界まで薄さを保ちつつ強度を実現することにしました。
革職人を訪ねて、工房へ。
設計図が完成し、いよいよ熟成レザーを使ったサンプル作りに着手を始めます。
これまでは図面をもとにしながらあれこれと話を勧めてきましたが、いよいよ実物が見れると思うと、心が踊りますね。
せっかくなのでとお願いすると、今回特別にdripの私たちも制作にご協力いただく革職人さんのもとを訪れ、モノづくりの現場を見学させていただけることになりました。
今回お邪魔させていただいたのは、PRAIRIEの製品が作られている実際の工場。長年、革小物の制作に携わってきた腕利きの職人達が集まる場所です。
工場の皆さんにもこれまでの経緯を改めて説明させていただいた結果、「面白いね」と財布作りのご協力を快諾していただきました。
そして、なんと今回は皆さんのご厚意で、その場でサンプルを作る様子を間近で見学させてもらえることに。早速、私たちがこれまでの考えてきたアイデアをぶつけてみます。
「革の浮きを抑えるためにもう0.1mm薄いほうがいいんじゃない?」
「カードを取り出しやすいように段差をつけてみよう」
「耐久性を考えると、ステッチの幅は細かすぎない方がいいかもしれない」
図面上ではなかなか見えてこない部分が、現場の職人さんならではの鋭い指摘によって浮かび上がってきます。
その場その場で、都度相談しつつ臨機応変に形を作り変えながら、作業を進めていきます。
職人さんたちの華麗なチームワークによって、あっという間にサンプル作りが進んでいきます。
革の断面にコバ処理を施している様子。
こちらは今回の財布とは別の作業風景ですが、あまりの真剣さに思わずシャッターを切ってしまいました。
「財布の質はコバを見れば分かる」と言われるほど、この工程は財布づくりにおいて肝となる部分。これ一つの工程だけでも、なんと数年の修行が必要だそうです。奥が深いですね、、、
革と革の間に接着剤を塗り込みます。これもズレが許されない、非常に繊細な作業。
いよいよ最後の仕上げ。裁断したパーツひとつひとつを縫い上げていきます。
実際に見ていたのですが、寸分の狂いなく、まっすぐに縫い合わせていく様はまさに圧巻。職人さんの“腕”が光ります。
こうして、ついにファーストサンプルがついに完成。
「圧倒的にコンパクト。それでいて、革の経年変化を楽しめる財布」をコンセプトに作った僕たちの財布、第1号です。
自分たちの頭の中にあったものが、こうして形になるとなんだか感慨深い気持ちになりますね。
製品の名前やより深いコンセプト、使い方については次の記事で詳しくご紹介しますので楽しみにお待ち下さい。
いよいよサンプルをテスト
もちろんサンプルができたから といって、これで完成という訳ではありません。
実際に使ってみなければ、気づけないこともきっと多いはず。
今回は、私たちdripの堀口・平岡が実際に数週間ほど使用して改善点を探していきました。
小銭の受け取りや、複数枚カードを入れた際の取り出しなど、実際に起こりうるであろうシーンを想定し、何度もテストを重ねます。
シャツのポケットやパンツのポケット、色々な場所に入れることを想定してジャストな小ささと薄さを改めて確かめます。
特に私たちのオフィスがある中目黒周辺は、おしゃれなカフェやコーヒースタンドなどが多いのですが、個人経営の店舗ではカードや電子決済に対応していないお店が多いことに改めて気付かされました。まだ電子決済の波に対応しきれていないお店も多くあるのですね。
さらなる進化を目指します
実際にテスト使用を終えてみると、良かった部分もあるものの、改善すべき点もいくつか発見することができました。
特に見つかった大きな課題は2つ。
・小銭入れから小銭が落ちてしまわないか不安
・革の伸びによる微細なサイズの変化
小銭入れに不安
真ん中に付けた小銭入れ部分に関しては、あくまで「受け取り」をメインとしたもので考えていたので極力シンプルで薄い形状で設計をしていました。
しかし、いざ使ってみると、誤って逆さに開いてしまった際に落下してしまう恐れが拭いきれず、検討の結果、次回サンプルでは極限まで薄く梳いた被せを付けてみることにしました。
使用による革の馴染み
熟成レザーは他の革に比べ、馴染むのが早い一方、テンションによる伸びが生まれやすいという特徴ももあります。カードに関しては取り出しやすいよう比較的余裕のある作りで考えていたのですが、1ヶ月ほど使っていると出し入れによって予想以上にカードポケットが広がり、すっぽりと抜けやすくなってしまいました。
この部分はよりサイズをタイトに、カードとほぼ同じ大きさまで小さく仕上げ、馴染んできて初めてスムーズに出し入れできる状態を目指すことで改善をしていきます。この結果、幸運にも現状よりさらに小型化することができそうです。
更にブラッシュアップしてセカンドサンプルへ
実際に作ってみないと分からない課題、使ってみないと分からない問題、商品開発には様々な検証が必要だということが、モノづくりに挑戦をして初めてよく分かりました。
現在、今回の修正点を踏まえながら職人さんと第2回サンプルを製作中です。
その模様は、次回レポートでお見せできるかとおもいますのでお楽しみに!
次のタイミングでいよいよ、この財布の機能やポイントについて全容をご紹介していきますので乞うご期待です!
dripでクラウドファンディングに挑戦します!
最後にここで重大発表。
今回、dripではMakuake(マクアケ)というサービスを用いて”クラウドファンディング”に挑戦することにしました!
dripではこの#僕たちの財布 プロジェクトを通して、より多くの人たちと一緒にモノづくりをし、愛着のあるモノを手に取ってほしいという想いがあります。
直接的ではなくても、自分たちの手で何かを作り上げる気持ちを感じてほしい。そのために今回”クラウドファンディング”という形式を取りました。この体験はきっと、関わったモノへの深い愛着につながるはず。
これまではイベントやモニターなどを通して、会える身近な人達と財布づくりを行ってきましたが、この記事を読んでいる全国の皆さんとも一緒にこのプロジェクトを作り上げていくことはできないか、と考えた結果です。
dripを通して一人でも多くの人と一緒に#僕たちの財布 づくりを行っていければと思います。
現在、募集スタートに向けて準備を進めていますので、詳細は次回レポートで発表します!
既にこの取り組みにも注目が集まり始めていて、業界誌や雑誌でも大きく取り上げてもらっています。皆さんの感想やご意見もお待ちしておりますので、是非一緒に盛り上げていきましょう!
「キャッシュレス時代の新しい財布」をdripとプレリーが共同開発|株式会社ドリップのプレスリリース
それでは、次回どうぞお楽しみに!