皆さん、こんにちは。お待たせいたしました。PRAIRIE × dripの革製品企画の続報です!
前回は一回目ということで、本企画の概要から始まり、製品のアイデアを得るために開催したイベントについてや、革の展示会に参加した模様をお届けしました。
今回は、それから1ヶ月ほどが経過した現在の経過を皆さんにお届けします。
前回の内容を踏まえつつ、いよいよ「僕らが作りたい、今本当に欲しい革製品」のコンセプトができあがりつつあります。ぜひ最後までご覧ください!
半年以上かけて仕上げるこだわりの熟成レザー。その魅力に迫まります
前回、革の展示会に訪れた私たち。そこで、偶然発見したのが「熟成レザー」。
通常のレザーと異なり、オイルを染み込ませて6ヶ月以上寝かせておく(熟成させる)ことで、生み出される艷やかな輝きと深みのある色味は、唯一無二の存在。
ひと目で惚れ込み、今回の革製品づくりに使用させていただくことに。
せっかく使わせていただくのであれば、もっと深くこの革について理解したい。 そんなわけで、実際に製造したタンナーさんにお話を伺いました。
ー 熟成レザーはどのようにして生まれたのでしょうか
もともとの革は、表面にワックス仕上げを施して、裏からオイルを塗りこんでから一日寝かせ、翌日出荷していたものでした。
ある時、その革をしばらく寝かしてみたところ、半年後に開いたときにその艷やかな表情と味わい深さが他の革とは一線を画すものだったんです。
おそらく、半年寝かせたことで、表のワックスと裏からのオイルが革の内部までゆっくり染み渡り、ムラなく均一、かつ既に何年も使い込んだような趣深い表情に変化したのだと思います。
タンニン、ワックス、オイルは時間をかけて馴染み徐々に変化していくものです。そのため、この製法でないと出ない表情と味だと思います。
ー 製造方法に関して教えてください
耐久性に優れた北米産のステア(生後3~6ヵ月の間に去勢したオスの成牛の革)を国内のタンナーでは数軒しかないピット槽に約一ヶ月漬け、鞣したベジタブルタンニンレザーを使用しています。この状態でも大変手間がかかった希少な革素材です。
熟成レザーはそこからさらに染色を施し、表面にワックス、裏面にオイルを3回塗り込んでいます。
その後一日置き、アイロンで表面を整える仕上げを行い、倉庫の中で半年間寝かせます。
湿気や気温の影響を受けるため、正直なところ半年寝かせたとしても今回のような仕上がりになる保証がないというのがタンナー泣かせですね。そのコストとリスクがあるため、今回の熟成レザーは、非常な貴重な革なんです。
ー 熟成レザーの魅力はどんな部分ですか
色合いやしなやかな質感もさることながら、やはり経年変化です。
普通のレザーはどうしても使用者の手入れ等によって変化の仕方が変わってくるのですが、この熟成レザーは時間をかけて寝かせているので、ムラが少なく、美しい表情をしているんです。オイルがたっぷり染み込んでいるので、ここから更にツヤが出てきますよ。
ー ありがとうございました!
目指すのは現代に即したミニマルな財布。サンプル試作に励む
極上の革素材が手に入ったら、次はいよいよ財布の形づくり。
前回お伝えしたとおり、革モノ座談会を開催したり革の展示会を訪れて、今回の革製品づくりにあたり様々な方の声を聞いてきた私たち。
そんな中で少しずつ浮かんできたアイデアを形にするため 、いよいよ製品のサンプル試作に着手していきます。
特に先日の革モノイベントで確信したことが一つありました。。それは「現金社会からキャッシュレス社会への“過渡期”にふさわしい財布」が今、若者に求められているという事実。
電子決済の普及が進み、着実に“キャッシュレス社会”は近づきつつある今日。数年前には想像すらできませんでしたが、もはや一度も現金を手にしない日さえあるほど。
だからこそ、この企画で目指すべきゴールは「圧倒的にコンパクト。それでいて、革の経年変化を楽しめる財布」という結論に至りました。
『小銭入れは必要?不要?、二つ折りの方が良いかな?』と、様々な意見を出し合いながら、紙に図を書き出しては組み立てる作業を重ねます。
可能な限り小さく、薄く。理想はクレジットカードとほぼ同じ大きさ。
あーでもない、こーでもない。紙を切っては貼ってを繰り返し、なんとか試作品1号が完成!いよいよここから本格的な革製品づくりがスタートです。
試作品を元にPRAIRIEと話し合い。プロの意見でアイデアをブラッシュアップ
試作品は完成したものの、これはあくまで私たちが作った“理想”。
まずは一度、プロの意見を伺うために紙で作った試作品をPRAIRIEさんに見ていただくことに。
「こんな財布ってどうですか・・・?」
カバンから恐る恐るサンプルを取り出すと、細部までじっくりと抜かりなくチェックするPRAIRIEの社員さん。
緊張の瞬間…
「確かにこれは今までにない新しい形だね。ただ、製品自体にはまだまだ改善の余地があるよ。」
「まず今回は紙でサンプルを作ってもらったけど、実際に革で作るとなると“厚み”が発生する。だから。それを考慮して全体的に数ミリ余裕を持った設計に見直す必要があるね。」
おもむろにペンを取り出し、さらりさらりと私たちの拙い設計図に手直しを加えていただきました。
本来肉厚にして使うタイプの革であるを熟成レザーを薄くするには、全体を0.8mmくらいに梳(す)いて、さらに縫い代やヘリ返し部分だけをさらに0.2mmほど梳く調整が必要とのこと。
プロの視点からアドバイスに「なるほど…!」と、終始うなずく私たち。
確かに私たちが作った紙のサンプルは薄く、柔らかいもの。特に熟成レザーはオイルをたっぷり染み込ませている分、どうしても薄くするのにも限界があるそう。
「コンセプトは面白いし、新しさも感じる。でも、うちにもこれまで積み上げてきたノウハウがたくさんある。伊達に数十年のあいだ財布ばっかり作っていないからね…(笑)だから、その知見も活かしながら良いものを作ろう!」
確かに財布の専門家としてPRAIRIEさんから出てくる意見はどれも的確なものばかり。今まで素人目線では、見えてこなかった新たな発見がたくさんある会議となりました。
見て触り、財布づくりへのこだわりを感じる
さきほどのPRAIRIEさんお言葉を受けて、改めて銀座にあるPRAIRIEのFLAGSHOPに並んでいる製品ラインナップを拝見させていただき、財布づくりのアイデアを持ち帰ることに。
革の展示会でも感じたことですが、頭の中で考えているよりも見て触って確かめる方がはるかにアイデアが湧きやすくなります。
今回見せていただいたのは、私たちの財布のイメージに近い以下の3製品。
Patine(パティーヌ) 三つ折り財布(コンパクト財布) NP76316
表には美しい色合いが印象ベジタブルタンニンなめし牛革、内には無染色のヌメ革を使用した財布。使い込むごとの経年変化が2パターン楽しめます。
なかを開くと、通常の縦にいることの多いカードを横にスライドさせて入れる機能を発見。実際に試してみると使用感も良かったので、参考にすることに。
https://www.le-prairies.com/SHOP/NP76316.html
ピープル 多機能小銭入れ 「プレリー1957」
やわらかなシボ感のある質感が印象的な多機能小銭入れ。イタリアのタンナーでなめした、レザーはソフトなタッチとイタリアならではの発色を実現しています。
小銭入れをつけるのかに関して、散々議論していたのですが、やはり実際の使用シーンを考えるのならば、受け取る際に必要だろうという結論に。
https://www.le-prairies.com/SHOP/NP09175.html
Classico(クラシコ) カード小銭入れ NP57585
こちらは、イタリアンレザーを使用したカード型小銭入れ。マットなバケッタレザーと艶のあるアンティックレザーのコントラストが美しさを感じさせます。
やはりこのカード型の無駄のないミニマルな見た目に惹かれます。私たちの財布も目指すのはこの小ささであると再認識。
https://www.le-prairies.com/SHOP/NP57585.html
今回のPRAIRIEさんからのフィードバックと視察を経て、改めて僕たちは作りたいのは「今までになくコンパクトな、さらに経年変化を楽しめる革財布」と再認識することができました。
とはいえ、まだまだ試作品ができたばかり。今後もさらにアイデアのブラッシュアップをはかっていきます。皆さんどうぞお楽しみに!
この財布の名前を一緒に考えませんか?
同世代の意見も取り入れながらものづくりを進めている今回の企画。この財布づくりを通して、dripではより多くの人と一緒にものづくりをしたいと考えています。
そこで、この「本格的な熟成レザーを使用した、薄く軽い、カードサイズの財布」の名前(キャッチコピー)を皆さんから募集することにしました!
名前というのは製品にとってもっとも大切なもの。
たくさんの人の思いが詰まった財布だからこそ、一番大事な名前は読者のみなさんと一緒に決めたいと私たちは考えています。
応募方法は、この記事をTwitterでキャッチコピーを書き添えてシェアするだけ。長くても短くても、1人何回でも投稿OK。ぜひぼくたちにアイデアを分けてもらえると嬉しいです。
名前が正式に採用された方には、お礼として完成した財布をプレゼントさせていただきます。皆さんからのご応募お待ちしております!