PRESSoの使い方の可能性をもっと広げたい。そんな思いから始まったオプションパーツの企画。
ミリ単位で形状を変えて、縫い方を変えて、ジップを変えて。工場の職人さんと相談を重ねながらサンプルを試作し、ついに自分たちの納得いく製品ができました。
連載第3回目となる今回は、完成した小銭入れの詳細や1つ1つの仕様に込めた思いをご紹介させてください。そして期待の声も多かったPRESSoの期間限定カラーについてもお知らせいたします。
最終サンプルが完成。
前回から引き続き進めているサンプル試作。その後もサンプルを実際に使ってみて感じた点などを製品に落とし込み、いよいよ製品が完成しました。
こちらが完成した製品。手のひらよりもずっと小さな革の小銭入れですが、この小さなサイズの中にぼくらのこだわりがギュギュッと詰め込まれています。
ここからはこの小銭入れの特徴を大きく3つのポイントからご紹介したいと思います。
小銭が入る最小サイズに挑戦
まず最大の特徴はなんといってもそのサイズ感。“硬貨が入る最小サイズ”でサンプルを製作し、出来上がったサンプルからさらに上下5mm分だけ削り、ギリギリの大きさを調整しました。
細かい調整の繰り返しによって、最終的にここまで小さいサイズの小銭入れができました。
収納力とデザイン性で決めた袋縫い
本体を小さくすると比例して起きるのが収納力の低下。小さいボディで収納力を上げるため、職人さんと相談した上で私たちが選んだのが袋縫いという縫製方法。
袋縫いとは革の裏面同士を縫い合わせていき、縫製後に全体を裏返して完成させる縫い方。こうすることにより内側にマチが生まれ、同じ革面積でも収納力がグンと上がります。
結果的にこの小さい中に500円玉が最大8枚、100円玉が10枚もの硬貨を収納できるようになりました。これだけ入ればお釣りや割り勘で急に小銭が発生しても安心。
また袋縫いは表面に縫い糸が見えないので、デザイン的な観点でもよりミニマルでPRESSoらしい雰囲気に仕上げてくれます。
袋縫いは毎回縫い終わった後に革をひっくり返すというひと手間が必要です。機械ではできないこの作業は職人が1つ1つ行うので、それだけコストも時間もかかります。
高い収納力とシンプルなデザインを両立するためにも、ひと手間を惜しまず丁寧に作り上げました。
PRESSoと同じ熟成レザー
もちろんあらゆる小さい財布にとってベストパートナーな小銭入れですが、PRESSoとの相性をより高めるために革素材はPRESSoと同じ熟成レザーを使用しています。
表側にはワックス、裏側にはオイルを塗り込み、半年かけて革の内部までたっぷり油分を浸透させ熟成することで、何年も使い込んだような深い表情を見せます。
この状態からさらにエイジングが進行していくので、使い初めも使い込んでからも楽しめる皮革素材になっています。
革の“プルアップ”について
前回と同じ熟成レザーを使用していますが、今回は革に関して1点だけ注意しなければならないことがあります。それが革のプルアップに関して。
熟成レザーは繊維内に多くの油分を含ませたプルアップレザーという革の種類に属します。
プルアップとは引っ張ることで革の内部にあるオイルが繊維内を移動し、引っ張った部分の色が明るくなる現象。
袋縫いは製法を紹介した通り、革を縫い合わせた後にくるりとひっくり返して形が完成します。このひっくり返しの際に、革が引っ張られることでこのプルアップが表面に現れることがあります。
染色の特性上、このプルアップがモカの場合は特に目立ちやすくなっています。
さらに小銭を何枚か収納していると、革の表面が硬貨の凹凸とぶつかって引っ張られることでもプルアップが発生します。
これは革が変色したわけではなく、中の油分が一時的に移動して起こる現象。指で撫でて油分を馴染ませてあげると自然と色味は落ち着いていきます。
縫製上の理由や小銭入れという特性上、PRESSoとは違いこのプルアップが発生しやすくなることをあらかじめ念頭に置いてもらえると幸いです。ブラック・アメリカーノは比較的プルアップが目立ちにくいです。
小銭入れの名前は「CHIP(チップ)」に決定!
僕らが作った小さな小銭入れ、製品名は「CHIP(チップ)」に決まりました。
海外で小額のお金をイメージさせる“TIP(チップ)”、小さなかけらを表す“CHIP(チップ)”、ストイックでビターな「PRESSo」にほんのり甘いチョコレート“チップ”を添えるように。
つい口ずさみたくなる可愛い語感も最後の決め手。親しみを込めてCHIP(チップ)とたくさん呼んであげてください。
春らしい新色も揃えました。そして期間限定PRESSoも!
そして前回の連載で告知していた期間限定の新色。今回は目の覚めるような黄色の発色が気持ち良い「リモーネ」と、中性的で知的な中間色の「トープ」の2色を準備しました。
新色の革はイタリア北東部で生産されたの耐久性の高いシボ革を採用。この地域はイタリア中の牛タンナーが集まる世界を代表する革の産地、革質の良さは折り紙付き。
熟成レザーとは違って経年変化はしないものの、汚れに強くいつまでもクリーンな印象で使い続けることができます。また、柔らかでふっくらとした質感のため折り曲げても皺になりません。
CHIPはぜひPRESSoと一緒に使って欲しくて。今回はCHIPの新色に合わせて、同じ革を使った限定カラーのPRESSoも準備しました。
内装もベージュのベジタブルタンニンレザーを使った、特別な仕様。男性はもちろん、女性にも使いやすいデザインになりました。
「リモーネ」と「トープ」の限定カラーを使ったPRESSoは今回挑戦するMakuakeでの完全限定モデル。一般販売する予定はありませんので、この色が気になったという方はぜひお早めに。(CHIPの新色2種は一般販売を予定しています。)
CHIP & 新色PRESSoのクラウドファンディングは4月28日(日)から!
今回は最小の小銭入れCHIP各色と、PRESSoの期間限定カラーでクラウドファンディングに挑戦します!
PRESSoはPRAIRIEさんと共同で販売していましたが、CHIPはdripだけの完全独占販売。言い換えると在庫のリスクも全てdripが背負うということになります。
少しでも受注数を予想して効率的な生産をするべく、今回もクラウドファンディングという形式で先行販売することにしました。4月28日(日)の14時からスタート。
dripが作り上げた自信作。皆さんの手元に届けるのが今から楽しみです。応援のほど、よろしくお願いいたします!!
これまでの開発ストーリーは下記からご覧いただけます!
小さな財布のパートナー。最小のミニマル小銭入れ「CHIP」(https://drip.co.jp/category/chip/)