ストーリー Story

「FLOOR」な引き出し?dripから段ボールで作る収納用具が生まれます。

梱包や運搬の時など、主に物を一時的に保護するために使われてきた「段ボール箱」。

近年では、段ボールならではの扱いやすさや一箱単位で自在に収納量を変えられる点から「収納ボックス」としても人気。実際にdripの社員も衣服やガジェット、書類などの整理のために日常的に使用しています。

ただ一方でダンボール製の収納ボックスは、中のものがごちゃごちゃになってしまったり、重ねると下の箱のものが取り出しづらい、重いものを上に乗せられないなどの課題点があります。

そこでdripではこれまでの収納システムに代わるような、利便性や耐久性、そして機能性にも妥協しない「全く新しい段ボール型収納システム」を考案することにしました。

作るのは「自由な」収納用具

今回僕らが収納用具を作る上でコンセプトとしたのは「自由さ」です。収納の自由さはもちろんのこと、移動の自由さ、組み替えの自由さなど様々な面で「自由で使いやすい」製品を作ることを目標としました。


FLOORPACKにヒントを得て

まず僕らで話し合った結果、従来の段ボール製の収納用具には以下の課題点が上がりました。

  • 下にある箱の中身が取り出しづらい
  • 収納部分が大きいため中身が混ざってしまう
  • ダンボールの見た目が部屋に馴染まない

一見矛盾するこれらの課題点を解決した製品が作れないか…そう考えていたところでふと思い出したのが、過去にdripが開発したバックパック「FLOORPACK」でした。

dripで販売している上下で仕切りを作れる2階建てのバックパック「FLOORPACK」。

大きなメイン収納部を仕切りで区切ることにより、大きな1フロアとしても、上下で分割した2フロアとしても使うことができる構造が特徴的なこのバッグ。

収納するモノに合わせて仕切り方を変える考え方は、今回の段ボール箱収納にも使えそうです。


引き出しにも仕切りによる「階層」を

そこでこの「仕切りによって収納サイズを変える」というアイデアを具体的な構造に落とし込んでいきます。

製品原案のラフスケッチ

話し合った結果FLOORPACKと同じように、引き出しにも「仕切り」を設置すればいいのでは?というような結論に至りました。

こうすれば同じ形のボックスの中に用途に合わせた組み合わせの引き出しを収納することができるようになります。まさにイメージした通りの、モノに合わせて収納の大きさを変えられる自由な収納用具。

この階層型のボックスは、FLOORPACKをきっかけにした収納ボックスということもあり、商品名は「FLOORBOX」としました。


引き出しの中にも「FLOOR」を

課題の洗い出しと解決策の大筋が見えたところで、早速サンプル作りへ。

シンプルな構造なので、ラフスケッチの時点でイメージがかなり定まっていました。そのため、初回サンプルの時点でかなり理想に近い仕上がりに。

2021年頃に制作したサンプル第1弾。1つの大きな箱に仕切りを入れて上下に分割をすることができます。

以下のように一度展開してからH型の仕切りを入れることで、簡単に2階建て構造を作ることができます。

仕切りを取り付ける様子

この仕切りにより重ねた状態で上下どちらの収納も独立して引き出すことができるようになり、「重ねると下にある箱の中身が取り出しづらい」という当初の要望をクリアすることができました。

そして、箱全体を1つの引き出しとして使う「1/1サイズ」を基本として、上下に分ける「1/2サイズ」、それをさらに左右に分ける「1/4サイズ」の三種類の引き出しボックスを作成。

これらを自由に選んで組み合わせることができます。

↑左から1/4サイズ、1/2サイズ、1/1サイズの引き出しボックス

1/2サイズを1つと、1/4サイズを2つ入れた様子


さらに便利に、さらに頑丈に

ファーストサンプルでコンセプトの根幹となる機能は固まったので、ここからはさらに製品を使いやすくするために細かな点をブラッシュアップしていきました。

収納を重ねるための「ツメ」

まず追加したのは、箱上部に差し込むことのできる「ツメ」。ファーストサンプルでは引き出しを重ねると安定感がない課題の1つでした。

そこでツメを取り付けることによって箱を上下に連結できるようになりました。段ボール製で作成することで、見た目に統一感を保ちながらも、本体と一緒に捨てることができるようになっています。

ツメを取り付けた様子

二重構造で強度アップ

次に変更を行ったのは蓋の部分。長く使うことを考えると力のかかる部分はなるべく頑丈に作りたいです。

そのため蓋や、横側の部分を二重にする設計に変更し、長期の使用による劣化を抑えられるようになりました。

引き出しの内部にも仕切りを

また、壁を二重にすることで新たな発想が生まれてきました。壁の内側の部分に段ボールの厚み分の隙間を設ければ、下の写真のように引き出しの中を仕切ることができるようになります。

引き出しの中に仕切りを取り付けている様子。スリットを設けることで簡単に付け外しが出来る。

これによって、引き出しだけでなく、引き出しの中身も仕切れるようになりました。

引き出しに仕切りを取り付けた様子。

これによって「箱が大きいため中身が混ざってしまう」という課題点もクリア。場所を問わずに使える理想の収納用具に段々と近づいてきました。


デザインにもこだわりを

ここまで真っ白な箱のまま進めてきたサンプル開発。

ただ収納用品もインテリアだと考えると、部屋に馴染む素敵なデザインは必須。ここからは外装デザインについても並行して考えていきます。

dripとしてはただ装飾のためではなく、しっかりと機能や意味合いを持たせたデザインを取り入れたいところ。

そこで、ミニマルかつ機能的なデザインを得意とし、国内外を問わず様々な場所でご活躍をされているデザイナーの太田 琢人さんにデザインを相談することにしました。

https://www.instagram.com/ohtatakuto/
太田さんのインスタグラムアカウント

太田さんと話し合いを重ねた結果、

  1. 中身の種類を外から把握できる仕組み
  2. 意味のあるデザインとしての数字
  3. 枠を重ねることを促す側面のロゴデザイン

をデザインとして外箱に取り入れることに。

上記3点を盛り込みつつシンプルで部屋に馴染む外装デザインを太田さんに依頼した結果、下記のような装飾を取り入れることに。

正面の左下にはシールを貼ることのできる小窓を用意。色によって中に収納した物のジャンルを大まかに判別することができます。

また、箱の正面には他にもロゴやサイズを示す数字を印字。

この数字は、1/1サイズの箱を100として、1/2サイズを050、1/4サイズを025と表現されたものです。

そして、外枠を積み重ねると側面に「Floor」の文字が完成する仕様になっています。

太田さんコメント

前面はシンプルかつ最低限のグラフィック、側面は外箱に隠れることを見越して少しグラフィックを強めに入れてみました。

Floorという文字をベースにロゴを制作しました。と同時にF(loo)rのlooの部分と100の形状をリンクさせ050、025もイタリック表記のoをベースに新しく制作しました。文字を記入する誘導としてドット形式で線を引いています。

Floorからイメージした階段をモチーフにピクトグラムのように両端にアクセントを加えています。

機能性やデザイン性だけでなく、dripの製品への想いまでも取り入れた、太田さんによる素晴らしいデザインが出来上がりました。


今までにない収納システム、完成しました

収納を自由に変えられる機能とそれを視覚的に表す外装デザイン。長い時間を掛け、ついに完成したのがこちらのボックス。

収納の数も、サイズも、仕切り方も、ユーザーそれぞれの使い方に合わせて自由に組み替えることができる段ボール収納です。

次回の記事ではこの全く新しい段ボール型収納システム、「FLOORBOX」の詳細や発売日・価格などをご紹介していきます。