リモートワークが浸透し始めたコロナ後の生活。突然やってきた新しい日常は、私たちのワークスタイルを大きく変えました。
仕事中にコインランドリーに出かけたり、ちょっとカフェで気分転換しながら仕事をしたり。デスクにいる必要はないけれど、メールの返信や資料チェックができる環境は持ち歩きたい。
そんなときには気軽に持ち出しながらもパワフルな作業ができるiPadが最適。でも世の中にはPC用のバックパックは数多くあれど、iPadを気軽に快適に持ち出せるバッグがない。
今回のバッグはこうしたトバログさんの課題意識をきっかけに、2019年末頃から開発がスタートしました。
開発コンセプトは1枚のイラスト
今回のバッグ開発にあたりコンセプトとなったのが、製品アイデアのブレストの時にトバログさんが描いた1枚のイラスト。「小さめなショルダーバッグと一緒にカフェでちょっと作業をする」というこのイメージに合うバッグ作りが始まりました。
その後は開発が始まってすぐにコロナ禍に見舞われながらも、オンラインなどを駆使して製品のブレストを行っていきました。
何度も話し合いを重ねた結果、製品のコンセプトは「iPadが快適に持ち運べる」ことによりオンオフが曖昧なライフスタイルでも使えるボディバッグに決まりました。曖昧の英語「vague」にちなんで、開発中の仮称はvagと呼ぶことに。
そしてここからはvagのさらに細かい機能について、構想段階で決まった4つの機能をご紹介していきます。
iPad用ボディバッグに盛り込みたい機能
①11インチまでのタブレットが収納できるボディバッグ
冒頭での開発のきっかけでも説明したように、オンとオフとの境界がなくなる日々の中で活躍するのがiPad。フリーランスや週末クリエイター、学生の方はオンでもオフでもiPadがあればある程度のタスクがこなせるという方も多いのでは。
しかし世の中にはPCを持ち運べるサイズのバックパックはありますが、そうしたバッグにタブレットを入れると容量を持て余してしまうことも。
逆に肩掛けで使えるバッグとなるとサコッシュのような小物だけを入れる小型なものが主流。肩掛けで気軽に使えてiPadを持ち運べるサイズのバッグはあまり見かけません。
オフで使うサコッシュ、オンで使うバックパック。その間にある「iPadを収納できるサコッシュ以上、バックパック未満なバッグ」こそがvagの最大の特徴となりそうです。
②狭い都内のカフェでも使いやすいバッグハンガー機能
この要素はトバログさんが描いたコンセプトイラストに盛り込まれていた機能。
席が狭いカフェのカウンターなどではバッグの置き場に困ることが多々あり、またショルダーバッグはストラップの構造上椅子の背もたれに掛けるといったこともできません。
そこで、バッグハンガーでバッグをすぐ脇に浮かせて置いておけるという機構をvagに実装することにしました。
③カメラ1台が入る収納力
オフの日にカメラを持ち歩くという人も多いはず。既存のビジネスバッグはドキュメントなど薄いものは収納しやすいですが、カメラのような嵩張るものは収納しづらいのが難点でした。
オフでも使って欲しいの要件として、カメラを持ち運べる収納力を1つの基準に設定しました。
カメラといってもサイズは様々ですが、今回はM型Leicaのようなレンジファインダーカメラや、小型のミラーレス一眼などを想定しました。
④オフでも使いたくなるミニマルでスタイリッシュなデザイン
最後はデザイン。オフの日に持ち出すバッグと考えるとスタイリッシュなデザインであることは絶対条件。それに加えてシーンを選ばないノイズレスなルックが理想です。
開発にあたっては実際にトバさんが使っているさまざまなバッグを引っ張り出し、デザインや素材使いを参考にしながら進めていくことにしました。
理想のバッグを設計図へと落とし込む
盛り込みたい機能が決まったら、あとはそれを製品に落とし込んでいく作業。個別の機能を盛り込んで全体を調整して…という繰り返しで作りたい製品の全体像をスケッチングしていきます。
そして完成したのがこちら。トバログさんが最初に書いた左下のコンセプトイラストをもとに、具体的な製品アイデアへと落とし込みました。
バッグハンガーを使ってカフェテーブルに掛けておける機能は、①のようにショルダー部分にハトメを開けてそこにバッグハンガーを通すような意匠に。
そしてカメラも入る収納力は②周辺のスケッチのように、バッグ全体を大きく袋状にしてマチを大きく確保。さらにスーツケースの内部に見られるような、メッシュでバッグの片側を覆うことで中の物が飛び出てしまうのを防止できるようにしました。
頭の中にあったコンセプトイラストのイメージから、具体的な機能を列挙し、それをバッグのディテールへと具体化して落とし込む。こうしてようやくvagの設計図が人に伝わる形で完成。2019年末から開発をスタートしたvagですが、ここまで構想を固めるまでに半年ほどかかってしまいました。
あとはこの設計図をもとに工場の職人と細部を摺り合わせ、図面を起こして製作へと入っていく準備ができました。
トバログさんと開発中のvagの続報は、近日公開予定です!