2020年03月26日

この製品の開発ストーリー

Tシャツのメガストアを運営する株式会社DAQさんと一緒にアパレルブランドを立ち上げることになったdrip。

前回の記事では“忙しい現代に余裕を生み出す服”という、ブランド全体のコンセプトが決まりました。
ここからは実際にどういう服を作っていくのか、具体的なアイデアやそれをディテールに落とし込んでいきます。

堀口

前回は服を通じて毎日に余裕を生み出せるよう、1枚で完結する服というアイデアまでは決まったよね。まず第一弾としてどんな服を作ろうか。

平岡

ファッションはやっぱり季節性が大切だと思う。今が2019年の8月だから、ここからアイデアを詰めてサンプル調整してとなると製品化は来年の3~4月くらいかな。

堀口

だとすると…やっぱり最初はTシャツ?

DAQ後藤

そうですね、私たちもアパレルは広く扱っていますがやっぱり専門領域はTシャツです。まずはブランド立ち上げ第一弾として、得意分野であるTシャツで勝負したいです。

ファッションを語る上で外すことのできない永遠のベーシックアイテムであり、あらゆる服の基本となるTシャツ。dripのアパレルブランドの最初のアイテムも、まずはTシャツから始めることに決まりました。

1枚で着れるTシャツ、着れないTシャツ

Tシャツを作ると決まったところで、次に考えなければいけないのが“1枚で着れるTシャツとは何か?”ということ。そこでまず2人はいろんなTシャツを持ち寄り、どういう要素があれば1枚で成立するのかを話し合うことにしました。

平岡

1枚で成立するTシャツといえば、すぐに思いつくのはプリントTシャツかなぁ。

平岡

あとは最近流行りのビッグシルエットのTシャツも1枚で着る代表的なTシャツだよね。

堀口

逆に1枚で着れないTシャツというと、インナーとして使うようなTシャツだね。

平岡

こういうインナーTシャツのインナーらしさってどこからくるんだろう…?

堀口

生地の厚さとサイジングだと思うな。上から何かを羽織ることを想定しているから生地が薄くて、サイジングも割とピタッとしているのがインナーっぽさを醸し出している気がする。。

平岡

プリントなどのワンポイント・ゆったりシルエット・厚手の生地。おおよそこういう要素が取り入れられていれば、Tシャツ1枚でも違和感がないということか。

堀口

1つ1つの要素について、どうやってTシャツのディテールに落とし込んでいくかを話し合ってみよう。

ゆったりとしたシルエット

平岡

まずはTシャツのシルエットやフィット感だけど、1枚で着るとなると今のトレンドでもある少しゆったりしたシルエットがいいよね。

堀口

そうだね、とはいえやりすぎると他の服と合わせるのが難しくなるから、程よくゆったりとした塩梅がいいな。

DAQ後藤

ちょうど堀口さんと平岡さんはTシャツのサイズでいうとSサイズとMサイズ相当の体型なので、1つずつサイズアップして堀口さんがMサイズ、平岡さんがLサイズを着用するくらいのサイジングがいいと思います。

DAQ後藤

堀口さんが着て程よく大き目を1、平岡さんが着て程よく大きいサイズを2、あとはそこからグレーディング(※1つの基準となる服のサイズを決めて、それを1アップや1ダウンしていく方法)を調整して3を作って、3サイズ展開はどうでしょうか。

平岡

つまりこういうことか。いつものサイズを選べば、ちゃんと1つ大きめなサイズを着ることができるということですね。

DAQ後藤

もちろんただサイズを大きくするだけではなく、パターンやシルエットを調整してダボダボではなくゆったりなサイズ感にする必要がありますが、その辺は技術がありますので私たちに任せてください。

生地の厚さ

DAQ後藤

生地の厚さというのは純粋な厚みだけでなく、手触りや質感も影響してきます。これに関しては実際に生地見本を触ってみて決めるのが良いと思います。

そういうと後藤さんは日本各地の生地メーカーから取り寄せた生地見本を机に広げました。ここから1つ1つ触ってみて厚みや質感を自分たちで確かめていきます。

平岡

こっちは厚さはあるけど目の詰まりが弱くてちょっとカジュアル感が強すぎるかも。

堀口

これは薄いけど光沢感があって1枚で着てもちょっときれい目な印象になるね。

たくさんの生地を触っていくことで、生地の微妙な違いを少しずつ感じ初めてきた2人。その後もいろんな生地を試していくと、2人とも同じ生地で手が止まります。

平岡

この生地は目もしっかりと詰まっていて厚さもTシャツというより薄手のスウェットみたいに分厚くていいね。

堀口

しかも生地にハリと光沢感があるから、着用した時のドレープ感(服を着た時に入るシワ感やその陰影のこと)も楽しめそう。

DAQ後藤

これは業界では20双糸(ニーマルソウシ)と呼ばれる生地ですね。

20双糸とは、普通の生地は1本の糸を使って天竺編みで織るところを、2本の糸を捻って1本にした糸を使って天竺編みで作る生地のことだそう。

さらに1本1本の糸も20番手という太めの糸を使用。こうして作られる生地は厚手で目詰まりや肌さわりが良く、ブランド物のTシャツにも採用されることも多い生地製法なのだとか。

DAQ後藤

さらに20双糸の中でも、ここの日本の生地メーカーさんが作るものはダントツで品質が高いです。生地だけだとブランド服にも見劣りはしないはずです。

触ると思わず「スウェットかな?」と思うほどに厚く、さらりとした素材感の生地がすっかり気に入ってしまった2人は、この生地を使ってTシャツを作ることに決めました。

デザイン性

フィット感や使う生地感が決まっても、やはり1枚でおしゃれとして成立するためには、完全にプレーンなTシャツではなく少しデザイン要素が必要。

どんな人にもどんなファッションにも馴染みやすく、それでいてきちんと主張のあるデザインを求めて、2人は頭を悩ませます。

堀口

さすがにプリントTシャツっていうのは、難しいよねぇ。

平岡

プリントTって着る方もそうだけど、作る方もセンスがいるからね。例えばぼくら2人の写真をプリントしてみて。悲惨だよww

堀口

これはやばいね笑 そしたら胸ポケットをつけるとかはどう?

平岡

アイデアとしては良いけど、ちょっとありきたりかなぁ。

平岡

あと考えられるのは胸にワンポイントロゴを入れたり、裾にピスネームを入れたり…。

堀口

というか、それは?その今着てる服のサイドについてるやつ。

平岡

これ?これはチャンピオンのスウェットについているリバースウィーブっていう延び止めのために付けられた生地の切り替えだけど。

堀口

ぼくらの作るTシャツも、20双糸を使ったほぼスウェットみたいな厚さだし、こういう切り替えが入ってたら面白いんじゃない?

平岡

なるほど。Tシャツでもあり、スウェットのようでもある服になるね。スウェットはそもそも1枚で着ても問題ない服だし、今回のTシャツのコンセプトにも合っているかも。

堀口

作ってみないとどうなるか想像つかないけど、まずはサンプルだけでも作ってみよう。

さらりと記事でまとめましたが、ファッションという新しい分野で“おしゃれさ”という曖昧な概念を追求するTシャツ作りは思いのほか時間が掛かりました。

身の回りのおしゃれな人の意見ももらいつつ、自分たちらしいTシャツの要素がようやく決まり、いよいよ次回はTシャツのサンプル作りに入ります!

dripのオリジナルTシャツ開発の連載一覧

・[Vol.1]忙しい現代に“余裕”を。dripのアパレルブランド作りが始動します。

・[Vol.2]dripのアパレルブランド作り。1枚で着れるTシャツってなんだろう?(この記事)

・[Vol.3]dripのオリジナルTシャツ作り。サンプルの改良を重ねてついに完成…!